認知症診断に関わる心理評価をする際の注意点

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認知症の方に心理評価を行う際、適切な配慮や言葉かけを行うことで、協力を得やすくなり、評価の精度も高まります。以下は、認知症の方に心理評価を行う際のポイントと、配慮すべき事項です。

検者間信頼性を担保するために毎年私の職場では高頻度で行う検査の手順や指示の出し方、情報収集方法を勉強会を設けて確認しています。

1. リラックスできる環境作り

静かで落ち着いた場所: 認知症の方は刺激に敏感であることが多いため、できるだけ静かで、余計な刺激がない環境で評価を行います。騒がしい場所や、テレビやラジオの音が聞こえる場所は避けます。

照明と温度: 明るすぎたり暗すぎたりしない、適度な照明の場所を選び、室温も快適に保つようにします。

2. 安心感を与える言葉かけ

挨拶と自己紹介: 最初に自分の名前や役割を丁寧に紹介し、安心感を与えるようにしましょう。たとえば、「こんにちは、私は◯◯です。今日は少しお話をして、一緒にいくつかの簡単な問題に取り組みたいと思います」といった言葉かけが適しています。

難しさを強調しない: 絶対に認知症という言葉は使いません。他にも「テスト」や「評価」といった言葉は不安を引き起こすことがあるので、避ける方がよいでしょう。代わりに、「たくさんの情報をいただいて医師に報告をする健康診断です」といった柔らかい表現を使うとよいです。

3. ゆっくりしたペースで進める

質問や指示は一度に一つずつ: 認知症の方は、一度に複数の指示を処理するのが難しいことがあるので、質問や指示は一度に一つだけ行います。次のステップに進む前に、前の質問や指示がしっかり理解されているか確認しましょう。

待つ姿勢: すぐに答えが返ってこなくても焦らず、時間を十分に与えます。急かされると混乱や不安を引き起こす可能性があります。

4. 肯定的なフィードバックを行う

努力を褒める: 正しい答えが出なくても、努力を褒めることが重要です。たとえば、「よく考えてくれました」「素晴らしいです」「その調子です」といった肯定的なフィードバックをこまめに行い、安心感と自信を持ってもらうようにします。

間違いを強調しない: 答えが間違っていても否定せず、そっと次の問題に移るか、再度説明するなどして、相手が不快に感じないように進めます。

5. 非言語的なコミュニケーションも活用する

表情や身振り: 認知症の方には、言葉だけではなく、優しい表情穏やかなトーンの声落ち着いた身振りが大切です。身体の向きやアイコンタクトをしっかり保ちながら接することで、安心感を伝えられます。

身振りや指差し: 理解が難しい場合、指差しや身振りで具体的に示すことで、理解を助けることができます。

6. シンプルな言葉を使う

短く簡潔な言葉: 難しい言葉や専門用語を避け、できるだけシンプルな言葉を使いましょう。たとえば、「今からこれをやりましょう」ではなく、「これを一緒にやってみましょう」と、具体的に指示します。

質問は「はい・いいえ」で答えられるもの: 開放的な質問よりも、答えが簡単な**「はい」か「いいえ」**で答えられる質問にすると、答えやすくなります。

7. 親しみやすい話題から始める

日常の話題や個人的な興味: いきなり評価を始めるのではなく、まずは日常の話題や、相手の興味がある話題から入ることで、リラックスした雰囲気を作ります。たとえば、「最近の天気はどうですか?」や「ご家族はどんなことをされていますか?」といった話題を持ちかけると良いでしょう。

8. 評価中の困難に対応する

混乱や不安が見られたら休憩: 被験者が混乱したり、疲れを感じた場合には無理せず、休憩を取ることが大切です。少し休むことで、再び集中力を取り戻せることがあります。日を改めることも検討しましょう。

途中での調整: 被験者が特定の質問やタスクに対して戸惑った場合は、質問を言い換えたり、ヒントを与えるなどして、負担を軽減します。減点となることを考慮して少し待っても答えが出ないようであればこちらからさりげなく答えを伝えて、明るい雰囲気で次に流していくのです。

まとめ

認知症の方に心理評価を行う際は、安心感を与える環境作りと、丁寧で穏やかな言葉かけが重要です。急かさず、ゆっくりとしたペースで進めることや、肯定的なフィードバックを行うことで、協力を得やすくなります。また、シンプルな指示や非言語的なコミュニケーションも活用しながら、相手の状態に合わせて柔軟に対応することがポイントです。

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TOMORI
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このブログでは作業療法士を目指す方、現役のセラピスト、復職を目指す方に対して学び直し、資格取得、勉強方法、スキルアップにつながる情報、今後は個別での相談受付も視野に進めていきます。

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