せん妄は意識障害≠認知症

せん妄 勉強

せん妄(せんもう)は、意識の混乱や注意力の低下、幻覚、興奮などが突然現れる状態を指します。通常は一時的なもので、特定の状況下で発症しやすいです。せん妄は、高齢者や病気を抱えた人に多く見られ、特に体調の急な変化や薬の副作用、環境の変化などが引き金になります。

せん妄の特徴

せん妄は、通常、次のような症状が急に現れ、数時間から数日間続きます。

意識の混乱: 人や時間、場所が分からなくなる。

注意力の低下: 集中ができず、会話を理解するのが難しい。

記憶の欠如: 自分が何をしていたかを忘れたり、会話の内容を覚えていない。

幻覚や妄想: 現実には存在しないものを見たり、聞いたり感じたりする。

感情の不安定さ: 急に怒ったり、興奮したり、不安を感じる。

昼夜逆転: 昼間は眠く、夜になると興奮することが多い。

次に、せん妄のタイプについて説明します。

1. 術後せん妄

術後せん妄は、手術後に見られるせん妄のことです。特に高齢者や長時間の手術、大きな手術を受けた人に多く見られます。

原因: 手術中の麻酔薬、痛み、ストレス、睡眠不足、電解質の不均衡、鎮痛薬などが影響します。

症状: 術後の意識が朦朧としていて、混乱や幻覚が見られることがあり、患者は時間や場所が分からなくなることがあります。

対応: 環境を安定させることや、患者の安心感を確保することが大切です。例えば、病室を明るくし、時計やカレンダーを置いて時間の感覚を保てるようにすることが推奨されます。

2. 夜間せん妄

夜間せん妄は、夜になると起こりやすいせん妄のことです。特に、昼間は比較的落ち着いているのに、夜になると急に混乱や興奮が増すことがあります。

原因: 夕方から夜にかけて症状が悪化する「サンドウィング現象」が要因の一つで、体内時計の乱れや暗さによる不安が影響します。

症状: 夜に突然興奮し、徘徊や暴力的な行動を取ることもあります。幻覚や幻聴が現れることも多いです。

対応: 照明を調整し、夜でも安心できる環境を整えることが大切です。また、日中に適度な活動を促し、睡眠のリズムを整える工夫も有効です。

3. 終末期せん妄

終末期せん妄は、人生の終わりに近づく患者(特に終末期のがん患者など)に見られるせん妄です。病気が進行し、身体機能が低下する中で、せん妄が現れることがあります。

原因: 痛み、酸素不足、脱水、薬物の副作用、体内の毒素の蓄積、または感情的なストレスが引き金となります。

症状: 強い混乱、興奮、幻覚、妄想が特徴的です。患者は自分の状況を理解できず、家族や医療スタッフを認識できないことがあります。

対応: 終末期せん妄の治療は、苦痛を和らげ、患者ができる限り安らかに過ごせるようにすることが重視されます。環境を穏やかに保ち、薬物療法で症状を緩和する場合もあります。

せん妄の対応

せん妄を防ぐ、または軽減するためのポイントには次のようなものがあります:

環境を整える: 明るく、静かで安心できる環境を作る。時計やカレンダーを置くことで、時間の感覚を保つ手助けをする。

適切な睡眠と休息: 睡眠不足がせん妄を悪化させるため、規則正しい睡眠パターンを促す。

薬物療法: せん妄の症状がひどい場合、医師が抗精神病薬や鎮静薬を処方することがありますが、慎重に行う必要があります。

家族のサポート: 患者が混乱した時、家族の顔を見たり、声を聞くことで安心感を得られることが多いです。

せん妄は患者本人にとっても周囲にとってもストレスが大きいですが、適切な対応で症状を和らげることが可能です。

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TOMORI
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